買い物リスト

一日目

A-25b レフトハンド 「我が叢雲を見よ」
A-43a コダマ 「深海棲艦のフルカラー画集」
H-15b こう1 「ナカチャンソロジー
へ-02b ラノベ作家休憩所 「求刑小説。」
ね-04b こぎつね 「少女展爛会」
ね-13b あまおち総統 「MSSクトゥルフ神話との邂逅」
プ-07b 稀見理都 フラクタル次元 「AXレポート本」

三日目

E-31a モニカノ 「駆逐艦 夕立時雨 尋問調書」
H-59b 藤原々々 「ざっくばらん星☆」
Y-40b 御厨みくり 「不明」
イ-09a 緑のルーペ 「宇宙蠅」
シ-39a わざきた 「エリーン異種姦漫画」
シ-75a 高瀬奈緒文 「アセリア本とか」
セ-14b 轟真 「艦娘緊縛本」
ソ-56a shift 「艦マス(新刊セットに含む)」
あ-07a つくしあきひと 「B5フルカラー24P。、やってたもの、やりたいものをまとめました。」
あ-57b タコ焼き 「スク水イラスト本」
い-25a くらは 「紙+少女」

買い物リスト

金B-42b 幽郭の厨房 艦娘×艦酒合同誌「艦娘のみあるき。」
金L-04b 『漢江鎮守府』 艦これ合同誌『落陽白書』
金コ-57b 遠すぎる未来団 nirvanaheimのとこ
金サ-11b Simple Craft 自分用以外に「からくりばこ」と「おもいでレシピ2」
金あ-04b ラノベ作家休憩所 救世小説

日A-32a かみやまねき 艦これ
日C-28a 藤原々々 たぶん艦これ
日エ-18a ジェームスほたて
日シ-37a 袁藤沖人
日シ-40b I.S.W ラノベ空想表紙
日セ-17a サークル牛乳屋さん“女子小学生はじめました”の番外編同人誌
日ミ-12b 焦げました
日ミ-48a 椋本夏夜
日め-01a 同人TCGアイヴァス

少女展爛会シナリオ「春を、この手に」

春です。
雪は解け、寒さは緩み、日差しは柔らかく、芽は膨みます。

ここにあるのは一本の大桜。
つぼみ膨らみ、ほどけ始める頃、
春風に誘われ棲み処を出、少女達は今その下へ――

概要

これは少女趣味と人間関係のもつれに耽溺するTRPG少女展爛会用の初期作成PC2〜3人向けシナリオです。
少女展爛会について詳しく知りたい方は「少女展爛会(C)SimpleCrafts(こぎつね)」をどうぞ。
このシナリオは「春」をテーマに、ハートフル、ロマンティック、ルナティックのどのオーでの雰囲気にも転がせる受けの広さを意識して作成しています。その分シナリオの取り回しに臨機応変さが求められるので、GMは少女展爛会の経験があったほうがいいでしょう。もし初心者向けのシナリオを探しているのであれば「少女展爛会シナリオ「塀の上からおちるの、なーんだ?」 - Vacant Lot」をおすすめします。
このシナリオはルールブックで推奨されている「ソナタ形式」のシナリオです。以下、二人のNPC、舞台、提示部、展開部、再現部、コーダとシナリオの内容を記述します。

ジョルジーヌ(ジーナ)

9つ程度の金髪碧眼の女の子。ひらひらのドレスを身にまとい、編みこんでまとめた髪の上には真っ赤な小さなハットを載せているのが常です。
性格はプライドが高く、意地っ張り。その一方で臆病で人見知り、そのくせ寂しがりだったりもします。プライドゆえに自分の弱さを認められない彼女は、それを隠すためにことさらわがままに高飛車に振舞わずにはいられません。それは、すでに自分の弱みを知られた相手でも同じことです。けれども、なかなか尻尾は隠しきれない様子。彼女の態度を良く見ていれば、端々から彼女の本心をうかがい知ることが出来るでしょう。
ポルテは彼女のわがままに文句を言わずに付き合ってくれるいい従者だと思っています。時々子ども扱いすることと、寝物語に怖い話をしようとするのが欠点なのですが。

データ
クラス/タイプ/オーデ
プリンセス/グレーテル/ハートフル
世界の部品
コロニアル/出し抜く悦楽/上に立つ快感
支配 従順 打算 純真 表現 好意 悪意 先制
4 2 5 3 1 2 3 5 2
特技
計算ずく(Apr/3)/突き飛ばせ!(Xtr/6)/全てを受け止める微笑(Swy/3)/くすくす(Xtr/1)
アイテム
ハット[支打]/ガーリッシュ(A)[打打]/(お化粧品[表打])*1
関係

彼女は主従の上に立つ関係を求めます。

  • ポルテ/主従/上攻
  • ポルテ/庇護/下受

ポルテ

13程度のブルネットに、灰色の瞳の少女。背中まで伸ばした髪をゆるく三つ編みにして、落ち着いた秋色の服の上にエプロンをつけています。
彼女は誰に対しても人あたりよく、控えめな態度で接します。
実は彼女は「楽しい」ということがどういうことなのか、いまひとつわかっていません。ほかの少女たちとともに時を過ごしても、またこのような機会を得たいという感情が湧いたことがないのです。そのために彼女は「やりたいこと」を他人の中に求めます。そして、やりたいことがはっきりしている少女と行動をともにして、相手のやりたいことを自分のやりたいこととして振舞うのです。
そんな彼女は怖い話やうわさ、いわゆる怪談を集めています。求められれば語りもします。しかし彼女はむしろ怖がりです。聞くときの表情は硬く、語るときの口調は訥々として、まるで怪談が好きなようには見えません。もしかしたら彼女は楽しさを共有できないことを、怖さを共感することで代わりにしようとしているのかもしれません。
ジョルジーヌは彼女にとって適度にわがままな一緒に居て楽な相手で、また、面倒を見るべき妹のような存在でもあります。

データ
クラス/タイプ/オーデ
ペット/シンデレラ/ルナティック
世界の部品
献身の成果/あの日の宝物/ちくりと刺さる宝物
支配 従順 打算 純真 表現 好意 悪意 先制
1 6 2 2 5 3 4 3 3
特技
尻馬(Xtr/4)/忍耐(Rep/3)/妬み(Rep/4)/取り残され(Itv/4)
アイテム
エプロン[従従]/トランクバスケット(R)[表従]/アメニティグッズ(R)[純従]
関係

彼女は従属か義務を負う関係を求めます

  • ジョルジーヌ/主従/下受
  • ジョルジーヌ/庇護/上攻
  • ほか「受」の関係2つ*2

舞台「大桜」

小高い丘の上に、一本の桜が生えています。
少女が5人集まって輪になっても周りを囲めないほどの立派な樹です。
屋敷に、桜はあまり見られません。なのでこの桜は「大桜」と、ただ呼ばれています。
珍しさも手伝って、春の満開の時期には周りで花見に興じる少女達で賑やかです。
この桜、春には見事に花を咲かせますが、それ以外の季節には緑一つなくまるで枯れ木のようでしかありません。
それを不気味に思って近寄るのを避ける少女もいるとか。

こんな噂があります。
「大桜の根元には、ある少女の亡骸が埋まっている。その血を吸っているから大桜は薄紅の花を咲かせるのだ」

こんな噂があります。
「春でもないのに大桜が咲いたときは、誰かが根元に埋められたのだ。その証拠に根元に掘り返された跡が見つかるはず」

こんな噂があります。
「どんなに花がきれいでも、大桜の枝を持ち帰ってはならない。大桜の怒りをかって、根元に埋められてしまうから」

提示部

出来事表
春/昼下がり/庭園

PC達は、寒さ緩んだ陽気に誘われ、大桜の下に集まります。桜はようやくぽつぽつほどけたつぼみは見られますが、花盛りまではまだもう少し。春は出会いの季節。PC達はすでに顔見知りかもしれませんし、初対面かもしれません。
彼女たちがお互いを認識し、一通り会話をしたら*3、ジョルジーヌが現れます。
年の頃は10に届かないくらい、フリルでひらひらのワンピースを着て、編み込まれた金髪はアップにまとめられています。そして、その上にちょこんと可愛らしい真っ赤なトップハットが載っていておしゃれな感じ。視線を大桜にあげて、息を弾ませて、駆けてきます。
彼女はPC達に気づくと驚いたように足を止め、手の届かない距離以上には近寄ってきません。表情は硬く、何か言いたげ、走ってズレたハットを気にしつつ、PC達をにらみつけます。

ここで、ショウアップを始めます。

ジョルジーヌは不機嫌さと敵意をまとっていますが、その隙間からは怯えがちらちら見え隠れします。誇り高き人見知りの彼女は、まだ自分の弱さを隠すにはおさなすぎるのです。彼女は悪意に対しては頑なですが、好意に対しては最低限の礼儀は尽くそうとします。たとえば名乗られたら、名乗り返すとか。

1ラウンド目が終わったところで、ショウアップを切り上げます。PC達が彼女を構いたくなってくれれば、提示部は成功です。

展開部

出来事表
春/昼下がり/庭園
ポルテの登場

ここでポルテが現れます。

ジーナ、置いていくなんてひどいわ」

彼女を見るとジョルジーヌは一瞬ほっとしたそぶりを見せますが、すぐに彼女をなじります。

「ポルテが遅いのが悪いのよ。おかげで邪魔が入ったわ!」

ポルテはジョルジーヌよりはやや年かさ、14くらいの少女です。秋色のシックな衣装に身を包み、緩くウェーブしたブルネットを三つ編みにして背中に垂らしています。
PC達が声などかけてくるようならポルテはさりげなくジョルジーヌとPCの10歩の間に入り、相手をします。ポルテはPC達に対して友好的相手をします。
ジョルジーヌはPCと仲良くするポルテにかんしゃくを起こして彼女の三つ編みをリードのように引っ張ったり、します。

大桜に来たわけ

二人が大桜に来たのは、ジョルジーヌが理由も言わずにポルテをつれてここまで来たからのようです。ジョルジーヌはなぜ大桜に来たのかその理由を問われたなら、思い出したように、 

「そうだ! ポルテが来たからにはお前たちの相手をしている場合じゃないんだった」

と、ポルテを大桜の根元まで引っ張っていきます。そして彼女を木の幹に押しつけるように立たせると、おもむろにその背中をよじ登り始めます。手始めにその三つ編みを手がかりにして。
ジョルジーヌの視線の先には低いところに張り出して伸びた桜の枝。どうやら彼女はそれを手折ろうと、しているようです。

大桜の怪談

ジョルジーヌを乗せて身動きの取れないポルテですが、顔を幹に押しつける格好になりながらも、PCに話しかけてきます。
曰く、

「桜の色がこんな色である理由を知っているか」
とか、

「春ではない季節に咲いた大桜を見たことがあるか」
とか、

「桜の根元に何が埋まっているか知っているか」
とか。

そう、彼女はのどかな陽気の中、大桜にまつわる怪談話を始めようとするのです。PC達は怪談について知っていてもいいし、知らなくても構いません。PLが創作した話につきあうのもいいでしょう。判定をさせて、成功したら知っていることにする、というのもありです。

『どんなに花がきれいでも、大桜の枝を持ち帰ってはならない。大桜の怒りをかって、根元に埋められてしまうから』

という噂が話が及んだところで、桜の枝に伸ばされたジョルジーヌの腕はぴたりと止まります。というところで、展開部は終わりです。
 
もしプレイヤーたちが怪談に乗り気でなければ、怪談話はさらっと流してさっさと切り上げてしまいましょう。

再現部

桜の枝を手に入れるには「コンクルージョン」が必要であることを、PCに説明します。ジーナが桜の枝をほしがるのは、前の春に見た桜があまりにきれいで、自分だけの桜が欲しくなったから、です。

ジョルジーヌとポルテの行動指針

二人の役割分担がはっきりしているコンビです。
ジョルジーヌの特技は攻撃的。「くすくす」で積極的にテンションを確保し、「全てを受け止める微笑」でオーデを確保。そして「計算ずく」による高いインパクトで相手を陥落させに行きます。
ただし、達成値が上がらないのが玉に瑕。でも心配は要りません。そこはポルテが「尻馬」でカバーしてくれます。
ポルテは完全なサポート形。「尻馬」に必要なテンションと相談しつつ、「忍耐」で耐え、「取り残され」でしのぎます。自身は積極的に動くことはできません。時にはテンションを確保するために誘受けをもらいにアプローチすることも考えましょう。
そのため、ルナティックのオーデにポルテはあまりこだわりません。むしろジョルジーヌと「取り残され」のためにハートフルを上げることもあるかもしれません。
「妬み」はいざという時の一刺しです。「忍耐」で耐えるだけだと思っている相手を驚かせるといいでしょう。

コンクルージョン

ジョルジーヌがポルテがコンクルージョンを起こした場合、桜の枝を手に入れます。
桜を手折ったとき、風がやみます。目に映るものはやけに色あせ、薄暗く感じられます。周りは静かで、大桜だけが辺りから取り残されたようです。少女達の心に禁忌を犯したという罪悪感が生まれます。カタストロフのオーデを+4します。
もし+4では意味がないと感じるのであれば+7してもいいでしょう。次のラウンドの終わりまでカタストロフのオーデが7のままであれば、みんな「いなくなる」のです。

ポイント

このシナリオのポイントは「桜や怪談にこだわりすぎないこと」です。
怪談はルナティックのキャラのために用意しているだけですし、桜を手折る必要も全くありません。そんなことより大事なことは、ジョルジーヌが意地を張ることです。初めて出会うPCに怯えていること、年上のポルテに面倒を見られていること、怪談が怖いこと……
プライドだけは一人前のジョルジーヌはそういったことを全て認めたくないのです。認めない代わりに、まだおさない彼女は周りに強く当たります。そんな彼女をPC達がどう料理するのか。それこそがこのシナリオの主題です。

*1:懐が足りないため使うことが出来ません。

*2:もしPCが2人なら、この関係をなくして「従順」と「表現」の資質を下げたほうがいいでしょう

*3:一通りというタイミングは微妙ですが、PC達が打ち解けて、プレイヤーが何かを始めようとするか、何をするか迷い始めた辺り、といったところです。

ヒロイン(?)魔改造と「盟約のリヴァイアサン」

突然ですが、ラブコメヒロインの条件、って何だと思います?
魅力的な容姿であること? 主人公に対して恋心を持ってること? 性格がいいこと?

確かにどれも必要なことではあるでしょう、しかし、それだけでは足りません。
もっと大事なことがあるんです。
それは何か? 「盟約のリヴァイアサン」を読めばわかります。

完璧超人はラブコメヒロインにはなれません。
「完璧な」と形容されるヒロインも少なくありませんが、それはいつだって前振りです。
実際には何か弱点を抱え、そしてそれが知られていないだけに過ぎません。
ブコメヒロインはたいてい主人公に依存せざるを得ないような十字架を背負っているものです。
十字架とは欠点であり、短所であり、往々にしてそれ単体では魅力とは呼べないような性質。
しかし実際にはその十字架こそがヒロインの魅力の多くを決定してしまいます。
その十字架の重さは些細な個人的な悩みから、世界を変える大きな秘密まで様々です。
ただ、どんな十字架であったとしても共通していることがあります。
それを彼女一人で背負い続けるのはつらく、耐え難いということです。
主人公(≒読者)が手をさしのべずにはいられないほどに。
だからこそ、その十字架が何であるかがヒロインの個性となり、その十字架の重さを主人公と分かち合ったり、肩代わりしたり、時には逆に重りとぶら下がってしまったり、する過程がストーリーとなるのです。

さて、今ここに一人のヒロイン(?)がいます。
容姿可憐、世界を守る使命を背負い、そして主人公を憎からず思っている。
アナスタシア・ルバシヴィリ。通称アーシャ。

彼女はソロでシリーズ一巻の表紙を飾ったにもかかわらず、ヒロイン(?)なのです。

一見妖精と見まごう美少女であるアーシャは、その実とてもとてもハイスペック。
人類の脅威たる竜と戦う魔女のエースである彼女は、完璧超人と言っていいくらい。
主人公を軽くしのぐバイタリティに、適応力に、さらには経済力までも持っているのです!

常住座臥いつでも自然体というモットーを体現する完璧超人、でも見た目は愛らしい少女。それが彼女です。

そんな彼女は実にヒロインらしいヒロインであるにもかかわらず、ラブコメ的には実質マスコットという希有な立ち位置を築いてしまいました。
しかし彼女も恋する乙女、そのまま終わることなんてできません。女子力と恋愛偏差値が低いと言われて黙っていられるお年頃ではないのです。

二巻から彼女は変わり始めます。彼女自身が変わりたいと思うのはもちろん、作者も彼女を魔改造する気満々です。アーシャをヒロインとして昇華させるためだけに師匠となるキャラクターが登場するくらいですから。この先彼女がどう花開くのか、それがメインストーリーに負けず劣らず楽しみになってしまっています。もう期待が膨らんでしょうがありません!

盟約のリヴァイアサン (MF文庫J)

盟約のリヴァイアサン (MF文庫J)

盟約のリヴァイアサンII (MF文庫J)

盟約のリヴァイアサンII (MF文庫J)

自分の特性に関する覚書

アニメや映画など、リアルタイムなメディアが苦手です。
トランプなどのゲームで、自分に配られた手札や、ゲームの展開をすぐに忘れてしまいます。
人と話しているときに、聞くことと、次に話すことを考えることが同時にできません。
といった困難を自分は覚えている。
これはワーキングメモリの不足によって起こっているんだろう。
ワーキングメモリというのは、脳内で思考や認識を行うために情報を記憶、整理する機能のこと。作業記憶などと訳されたりもする。複数の作業を同時に行ったり、文章を組み立てたりといった、計算や運動、言葉の選択といったレベルの上で、それらを統合するはたらきをしている。
それを補うために自分は認識された情報の取捨選択をしている。たとえばアニメを見ていたら、カメラワークと前景と背景と、色彩のうち、だいたい前景とカメラワークに絞ってみている。だから、シャツの色が間違っているといったことには自分は気付かない。取捨選択の切り替えはある程度意識的にできるし、意識すれば認識する情報の幅を広げることもできるが、精神的な負荷は高い。会話をしているときは基本的に幅を広げている状態を強いられるので、会話はどうしても疲れてしまう。
ワーキングメモリとは別の情報処理系統が多分ある。意識に上ってこないけれども、思考している部分が。自分はそれを活用することには長けていて、意識に上らない思考に情報をインプットして、アウトプットを待つということを意識的に行っている。この思考は意識に上らないだけに言語化できないのが欠点だ。つまり思考過程を他人と共有できない。そして必然的に少ない情報で判断を行わなくてはならないので、憶測に頼らざるを得ない。だから、自分は何かについて判断ができるようになるまでに、関連した情報を収集して憶測の制度を高めることが必要になる。

人生の孤独と「神聖にして侵すべからず」

この文章はPULLTOPの18禁ADVである「神聖にして侵すべからず」について書いています。致命的にネタバレを含むので注意して下さい。

神聖にして侵すべからず」は去年プレイしたエロゲの中では最も印象に残ったゲームだった。年末のコミケの準備に追われる中を、それでも合間を縫ってプレイした去年最後のゲーム。そのことを差し引いたとしても、一番印象に残ったゲームだったのだ。そして、強烈な印象を残したのとは裏腹に、自分にとってこれがどんなゲームなのか落とし込むことの出来ない、どう語っていいのか分からない、そんなゲームでもあった。
だから永倉氏とうぃんぐ氏が冬コミケの新刊「ぼくらのあいした江古田」の中で「神聖にして侵すべからず」について書くと知って、とても楽しみにしていた。
この文章はその記事を読んで触発されて書くもので、自分のこの作品の印象をまとめたものであると同時に、ある意味で二人が書かれたなかで提示された問題に対する自分なりの答えでもある。

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ツッコミの価値と「さくら荘のペットな彼女」

ツッコミ役が不在のコメディは読んでいて困ることが多い。

登場人物がボケてボケてボケて、そのまま放り出されてしまうと、締まらない。
何処かでツッコミを挟んでくれないと、笑いどころがわからない。
自分でツッコンで楽しめるのならいいけれど、自分でツッコムのは意外と疲れる。
だから登場人物の誰かがツッコミ役となって、読み手のツッコミたい気持ちに応えて欲しいのだ。
ツッコミ役はたいていの場合、主人公になる。
ツッコミ役に読者は感情移入しやすいから、主人公がツッコミ役になるのが適しているんだろう。
そして、ツッコミ能力は重要な個性でありながら、読者の側に立つことで”普通”を逸脱しない。
身近さが求められる現代学園ものの主人公にはまさにピッタリなんだろう。

さくら荘のペットな彼女」では、主人公の空太が典型的なツッコミ役となっている。

誰もが敬遠する、常識破りの連中の集うさくら荘に住むことになった”平凡”な主人公。
彼はどんなに振り回されても、他の住人の奇矯な言動にツッコムことをやめない。
周囲から浮かばずにはいられない人間達を、地に繋ぎ止めようとするかのように。
その努力を嘲笑うかのように彼が振り回され続けるのが、コメディとしてのこの作品のお約束だ。
でも、その努力は決して無駄ではない。

物語では多かれ少なかれ”特別”が描かれる。

ツッコミ役は、何が特別で、何が特別でないかを示してくれる。
普通と、特別の間を隔てる目隠しを取り去って、その間にある溝を露わにしてくれる。
相手せず、無視すればすむところを、あえてツッコムのはそれに光を当てることなのだ。
学園ものの登場人物として落第の、周囲を逸脱する才能を持った面々を舞台に引き込む才能。
そんな個性が値千金の価値を持つユートピアとして、さくら荘という舞台はある。
そこでの恋は、普通と特別を隔てる溝を挟んで繰り広げられる。
一つ屋根の下なのに、相手が見えない、手を伸ばしても届かない。
それが恋愛ものとしてのこの作品のお約束だ。

ヒロインのましろは、世界も認める絵の才能の持ち主だ。

代わりに、自分の服を選ぶこともできない生活破綻者でもある。
絵を描くこと以外の全てを人に委ねることに何のためらいもない。
まるで絵以外の全てに価値を感じていないかのように。

そんな彼女の世話を押しつけられた空太は、せめて常識という首輪で彼女を繋ごうとする。

けれど、そのためには当然相手に近づかなければならないわけで、簡単には届かない。
普通はそんなことを試すまでもなく、人は近づこうとしない。飛ばないし、目指さない。
それでもまめに世話を焼き、あがいてツッコミ続ける空太を、ましろが認めるところから、恋は始まる。

さくら荘のペットな彼女」では、空太はツッコミ役だからこその主人公になっている。

空太は小気味よくツッコミを入れるけれど、それは決して安全ではない。
物語の中で実際に力を持つからこそ、一度地雷を踏めば彼自身に返っていく。
ツッコミを受けるましろは変わっていくけれど、空太の思惑を軽々と超えていく。
そんなままならなさが、この上なく楽しい。そんなラノベです。