ヒロイン(?)魔改造と「盟約のリヴァイアサン」

突然ですが、ラブコメヒロインの条件、って何だと思います?
魅力的な容姿であること? 主人公に対して恋心を持ってること? 性格がいいこと?

確かにどれも必要なことではあるでしょう、しかし、それだけでは足りません。
もっと大事なことがあるんです。
それは何か? 「盟約のリヴァイアサン」を読めばわかります。

完璧超人はラブコメヒロインにはなれません。
「完璧な」と形容されるヒロインも少なくありませんが、それはいつだって前振りです。
実際には何か弱点を抱え、そしてそれが知られていないだけに過ぎません。
ブコメヒロインはたいてい主人公に依存せざるを得ないような十字架を背負っているものです。
十字架とは欠点であり、短所であり、往々にしてそれ単体では魅力とは呼べないような性質。
しかし実際にはその十字架こそがヒロインの魅力の多くを決定してしまいます。
その十字架の重さは些細な個人的な悩みから、世界を変える大きな秘密まで様々です。
ただ、どんな十字架であったとしても共通していることがあります。
それを彼女一人で背負い続けるのはつらく、耐え難いということです。
主人公(≒読者)が手をさしのべずにはいられないほどに。
だからこそ、その十字架が何であるかがヒロインの個性となり、その十字架の重さを主人公と分かち合ったり、肩代わりしたり、時には逆に重りとぶら下がってしまったり、する過程がストーリーとなるのです。

さて、今ここに一人のヒロイン(?)がいます。
容姿可憐、世界を守る使命を背負い、そして主人公を憎からず思っている。
アナスタシア・ルバシヴィリ。通称アーシャ。

彼女はソロでシリーズ一巻の表紙を飾ったにもかかわらず、ヒロイン(?)なのです。

一見妖精と見まごう美少女であるアーシャは、その実とてもとてもハイスペック。
人類の脅威たる竜と戦う魔女のエースである彼女は、完璧超人と言っていいくらい。
主人公を軽くしのぐバイタリティに、適応力に、さらには経済力までも持っているのです!

常住座臥いつでも自然体というモットーを体現する完璧超人、でも見た目は愛らしい少女。それが彼女です。

そんな彼女は実にヒロインらしいヒロインであるにもかかわらず、ラブコメ的には実質マスコットという希有な立ち位置を築いてしまいました。
しかし彼女も恋する乙女、そのまま終わることなんてできません。女子力と恋愛偏差値が低いと言われて黙っていられるお年頃ではないのです。

二巻から彼女は変わり始めます。彼女自身が変わりたいと思うのはもちろん、作者も彼女を魔改造する気満々です。アーシャをヒロインとして昇華させるためだけに師匠となるキャラクターが登場するくらいですから。この先彼女がどう花開くのか、それがメインストーリーに負けず劣らず楽しみになってしまっています。もう期待が膨らんでしょうがありません!

盟約のリヴァイアサン (MF文庫J)

盟約のリヴァイアサン (MF文庫J)

盟約のリヴァイアサンII (MF文庫J)

盟約のリヴァイアサンII (MF文庫J)