キャラクターを「魅せる」には

この記事について

この記事はある程度TRPGについて理解のある人を対象に書いています。「TRPGってなに?」とか「TRPGなんてやらないよ」と言う人は別の記事を読むことをお勧めします。

何のために「魅せる」?

キャラになりきることを重視する人には「聞く」ことが苦手な人が結構います。多いらしいですね。彼らは自分かキャラになりきること以外のことまで手が回らずに、人のことを気に掛けている余裕がない訳です。
この話は、あまりなりきることだけに囚われずに聞く耳を持つようにしようという教訓で大抵終わります。けれどもそれだけでいいのでしょうか。
もちろん聞く努力も必要です。でも、聞かないのが悪い、とにかく聞け、というのも窮屈な話です。あまり前向きな感じもしませんね。
「聞く」のが苦手な人でも思わず聞き入ってしまうような、そこまで行かなくともせめて聞きやすい、そんなロールプレイが出来たらいいと思いませんか?
コートを手放さないのは風が弱いからではなく日差しが足りないから。
この記事ではキャラクターを魅力的にロールプレイする「魅せる」方法を書いていきます。これは私の個人的な経験と主観に基づくものです。これが唯一絶対なんてことはあり得ません。なので共感できるところ、出来ないところといろいろあると思います。自分なりのロールプレイの方法を見つめ直すきっかけにしてもらえれば幸いです。

「魅せる」キャラクターの設定

世の中には魅力的な設定が沢山あります。そういった設定の蒐集に余念のない人も多いかと思います。せっかく集めたものです。使いたく、なりますね?
その前に、ちょっと考えましょう。あなたがそのキャラクターでやりたいことは何ですか?
そのキャラクターの印象を、どのようなものにしたいですか?
それを考えていないと、キャラクターはバランスを欠いた半端なものになってしまいます。無駄に設定が詰め込まれて収拾がつかなくなったり、逆にほとんど設定がふくらまずに薄っぺらになってしまったり、これでは「魅せる」以前の問題です。
やりたいこととは、いつがキャラクターが活躍する、印象的な、つまり最も「魅力的」になる、瞬間かということです。なるべく一つに絞って決めておきましょう。たくさんあっても悪いとは言いませんが、一つのセッションであまり多くを達成しようとはしないことです。
さて、キャラクターが出来たところで、もう一つ。舞台に出る準備は出来ていますか?
具体的には、やりたいことで他のキャラクターを巻き込むことが出来ますか?
出来るなら問題はありません。出来ないと、そのままでは一人寂しく舞台袖で観客もなく一人芝居をすることになります。それで満足そうな人もいますけれど、見ていて気分のいいモノではありません。他のキャラクターを巻き込むというのは他のPLを巻き込むのと同義です。
楽しむときは周囲と一緒に。あなたのキャラクターが活躍するとき、場が盛り上げられたならばそのキャラクターは魅力的であるに違いありません。
出来ないときは、考え直すとか、GMにシナリオネタにしてもらうとか、自分でGMするのもいいかもしれませんね。
最後に、出来たキャラクターは話を振る側・振られる側、どちらでしょう?
ボケツッコミ、攻め受け、社交的内向的、いろいろ表現はありますが、出来たキャラクターがどちらなのか意識しましょう。注意すべきはこれは相手が必要だということ。相手によって態度が変わることも多いです。引っ込み思案ばかりでは話が進みません。始めに決めたことに囚われすぎずに周りのキャラクターを見ながらどちらに回るか考えましょう。
基本的には話を振る側の方が簡単です。自分が話を振る理由はどうとでもなりますが、他人に話を振ってもらう理由はコントロールしづらいですから。
これを意識しておくと他のキャラクターとの繋がりを作っていけます。これによってできる「やりたいこと」の幅がぐっと拡がるはずです。

「魅せる」ロールプレイ

さて、いよいよ本番、実際のセッション中で考えるべきことを。
キャラクター紹介は簡潔に。まずは一言でキャラクターの印象を明確に伝えましょう。やりたいことがきちんと決まっていれば、ちゃんとまとまるはずです。
話を振る側ならばどんな話を振るのか、振られる側ならばどんな話を振られると嬉しいのか、伝えられるといいでしょう。
人からキャラクターの設定を提案してもらえるくらいなら、相手がキャラクターに対する印象をちゃんと持ってくれている証拠です。
セッション中はプレイヤーは自分のキャラクターにかかりきりになりがちです。自分のキャラクターの周りしかなかなか見えません。なので、人に自分のキャラクターを「魅せる」ためには相手のキャラクターに近づかないといけません。逆に自分が他のキャラクターを見るにも近づいていくのが一番です。
やってはいけないのは、ネタを自己完結させること。人がいるところでやれば相手は無視された気になりますし、いないところでやるのは……言うまでもありませんね?
ここまで、他のキャラクターとの関わりを作ると言うことを繰り返してきました。それは結局何のためかというと、その関わりを使って物語を操作するためです。テレビゲームでも、使いこなせるコマンドが増えていくというのは楽しいですよね? それと同じで他のキャラクターとの関わりを増やすことで物語に関わる接点を増やすことが出来るのです。それが結局「やりたいこと」の実現の助けになり、他の参加者を「魅せる」ことになり、皆で楽しむことに繋がります。
もちろんなかなか思い通りには行かないです。他人は他人の思惑で動きますから。でもそこにもまた面白さがあると思います。簡単に出来るなら、そもそも挑戦しがいもない訳ですからね。

おわりに

ネタの一つも入らない気の利かない文章でゴメンナサイ。こんな小難しいこと考えずに楽しめるようになりたいものです。
ここまで読んでくれた人と共に楽しい卓を囲む機会を望みます。